i
関塾タイムスのトップへ戻る

2012年5月号vol.418

今月のタイムス
MONTHLY SPECIAL

保存版!図解de理科
世界遺産って何?
私の勉学時代
イラストギャラリー
QUIZ WORLD クイズワールド

バックナンバー
バックナンバー

お問い合わせ・ご意見・ご要望などありましたら、こちらまでお願いします。
関塾タイムス本誌は毎号、国立国会図書館に収蔵されています

ご注意
このサイトにある全ての内容の無断転載・転用ならびに、引用画像の二次利用を固くお断り致します。
当サイトを利用することにより生じた損害等に対する責任は負いかねますのでご了承ください。
Internet Exploler4.0またはNetscape Navigator4.0以上でご覧ください。

関塾
関塾 タイムス

Monthly Special



特集1




対象学年→
小4
小5
小5
中1
中2
中3
高1
高2
高3

2011年6月24日に小笠原諸島(東京都)が、26日に平泉(岩手県)が世界遺産に登録されることが決定しました。これにより、日本の世界遺産は合計16か所となりました。
ところで皆さんは、世界遺産とは何か知っていますか? 世界遺産が、どのように登録され、登録されることでどうなるのかは、あまり知られていません。今回は、世界遺産について学んでみようと思います。「世界遺産の登録件数には上限がある?」「登録が取り消されることもある?」など、意外な事実にも迫ってみましょう。

代表的な世界遺産〜海外編〜日本編〜

世界遺産とは

世界遺産とは、人類全体にとって顕著で普遍的な価値がある自然や景観、遺跡などのことをいいます。私たちにとって大変価値があり、保護しなければならないと認められたものが、世界遺産の仲間入りを果すことができるのです。
1954年、第2次世界大戦の時の反省をもとに、戦争などの武力紛争から文化財を保護するためのハーグ条約が採択されました。この条約作成を主導したのが、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)です。そして、1972年の第17回ユネスコ総会において、世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)が満場一致で成立しました。世界遺産第1号が誕生したのは、1978年のことです。この時は、アメリカのイエローストーンなど12件の世界遺産が登録を果たしました。世界遺産条約が正式に発効された1975年での条約締結国は20か国でしたが、2011年には188か国にまでえています。
世界遺産は大きく3つに分類されています。建築物や遺跡などの文化遺産、自然や生物、景観などの自然遺産、文化と自然の両方に価値がある複合遺産です。また、非公式ではありますが、人種差別の撤廃や平和を訴えていく上で重要な遺産を負の遺産と呼んでいます。広島県にある原爆ドームもこの負の遺産の一つです。

登録までの流れ

世界遺産に登録されるためには、まず登録を求める地域の政府機関が、候補地を推薦して暫定リストを提出する必要があります。日本の場合、文化遺産の場合は文化庁が、自然遺産の場合は環境庁か林野庁が、国内の暫定リストに記載するかどうかを決めています。推薦書と暫定リストを受け取ったユネスコ世界遺産センターは、文化遺産候補なら国際記念物遺跡会議(ICOMOS)、自然遺産候補なら国際自然保護連合(IUCN)へ調査を依頼。それぞれの機関から専門家が派遣され現地調査を行います。その調査報告をもとに判定し、さらに世界遺産会議での最終審議を通してようやく正式登録に至ります。
2010年に登録された平泉の場合、海外の専門家による現地調査で、2008年に登録の延期を勧告されました。価値観の違いや、景観悪化などにより、登録に至らなかったり延期されたりすることもあるのです。また、せっかく登録を果たしても、「顕著で普遍的な価値が失われた」と判断された場合は、登録が取り消しになることもあります。2007年、オマーンにあるアラビアオリックスの保護区が登録を抹消されました。開発を優先するオマーン政府によって保護区が大幅に縮小され、致命的な環境の悪化が確認されたことが理由でした。

登録後の課題

オマーンの事例からもわかるように、世界遺産は、登録後も継続的に観察されます。世界遺産にふさわしい景観や環境を保つことが義務付けられているため、周囲に高層ビルなどが建設されると、「景観が破壊される」と問題になることもあるのです。また、世界遺産に登録され世界中から注目されると、観光地として賑わいます。人が集まり周辺地域が活性化するのは大変良いことです。しかし、一部の観光客が、そこで暮らす人々へ迷惑をかけたり、ゴミを捨てるなどして景観を悪化させたりするというトラブルも発生しています。世界遺産を訪れる一人ひとりにも、その景観や環境を守る意識が必要なのです。
2011年時点で、世界遺産の登録件数は936件となりました。登録された遺産には、ヨーロッパ圏にある文化遺産が多いことなど、登録の偏りを問題視する声もあり、世界遺産委員会では、こうした偏りをなくすための取り組みも行っています。また、公式には上限が設けられていない世界遺産の登録件数ですが、継続的に観察できるのは2000件ほどであるという話もあります。
現在、日本の世界遺産暫定リストに登録されている件数は12件です。今後の審議が楽しみですね。

危機遺産リスト

ユネスコの世界遺産には、危機にさらされている世界遺産(危機遺産)と呼ばれるものがあります。危機遺産とは、「顕著で普遍的な価値のある」世界遺産が、何らかの脅威にさらされているものをいい、世界遺産会議によって危機遺産と認定されると、危機遺産リストに加えられます。例えば、農地の拡大や内戦などによって景観破壊が懸念されるエチオピアのシミエン国立公園や、観光客によって伝染病が持ち込まれゴリラの数が激減したコンゴ民主共和国のカフジ=ビエガ国 立公園なども危機遺産です。その大半が内戦や密猟など人間活動による脅威であることも見過ごしてはならない事実。世界遺産を保護するということは、自然を守ること、平和を尊ぶことでもあるのだということを、覚えておきたいですね。



←ひとつ前のページへ ↑このページのトップへ