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2012年3月号vol.416

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私の勉学時代

大阪市立大学理事長 西澤良記先生に聞く

「ヒトの1日は25時間」
体内時計をしっかり把握して
規則正しい生活を送りましょう
1880(明治13)年、「近代大阪の父」といわれた五代友厚らによって創設された大阪商業講習所を源流とする大阪市立大学は、2010年に創立130周年を迎えました。「大学の普遍的使命−優れた人材の育成と真理の探究−の達成」を理念とし、学生の好奇心やチャレンジ精神を大いに伸ばすことができる充実した環境が魅力です。今回は、そんな同大学の理事長・学長である西澤良記先生にお話を伺いました。

■Profile
西澤 良記(にしざわ・よしき)

70年大阪市立大学医学部卒業。75年に同大学大学院医学研究科内科系専攻内科学2課程修了。79年に大阪市立大学助手となった後、講師、助教授を務め、99年大阪市立大学教授に就任。2002年には大阪市立大学医学部付属病院副院長に就任、06年には同大学大学院医学研究科長、医学部長となる。2010年4月大阪市立大学理事長・学長に就任。専門分野は代謝内分泌病態内科学。「糖尿病で腎不全にならないために−その管理上の問題点と対策−」医療ジャーナル社(2006年・共著)、「「痛い」「だるい」は生活習慣病のサイン」講談社(2003年・著作)など、生活習慣病に関わる著作物を多数手がけている。


厳しかった父

私は奈良県桜井市に生まれました。桜井市は、「源氏物語」などにも登場する長谷寺や、「日本書紀」に記録されている箸墓古墳など、歴史的にも重要な史跡や社寺があります。そして昔から製材業が盛んな「木の町」でもありました。県内各地から材木が卸され、それを扱う商人が集まっていました。田舎町でしたが、活気に満ちたところでしたよ。
父は戦中、海軍に所属していたこともあり、躾には大変厳しい人でした。まちがったことや、曲がったことが大嫌いという性格でしたね。特に勉強については厳しかったと思います。私には歳の離れた二人の兄がいますが、その兄たちよりも「勉強しろ」と言われたのではないでしょうか。今思えば、自分が歳を取ってから生まれた私の将来を心配してくれていたのでしょう。父から勉強を教わったことはありません。成績の良し悪しについて何か言われることもありませんでした。ただし、勉強に対する姿勢だけは注意されました。ふだんの生活の中で、私が勉強の時間をしっかり確保して、真面目に取り組んでいるかを見ていましたね。本当に怖い父親でしたが、私は大変尊敬していました。

近所でも評判の「やんちゃ者」

幼い頃の私は、とてもやんちゃだったそうです(笑)。幼稚園生の時には、小学生を従えて遊んでいたようで、近所でも噂になるほどでした。私自身は「従えていた」つもりはまったくなくて、「一緒に遊んでいた」と思っていたのですが(笑)
当時は「この指とまれ!」と呼びかけて集まった子どもは皆、仲間でした。年下の子の面倒を見たり、年上の子からいろんなことを教えてもらったりという交流があって当たり前でした。現在はそういう機会がめっきり減ってしまいましたね。子どもたち一人ひとりが大変忙しく、時間が制限されているためなのでしょうが、とても残念に思います。

暗記物は電車の中で

中学校は、大阪市立天王寺中学校へ進学しました。進学校ということもあり、多くのクラスメイトが放課後学校の先生が開く塾に行ったり、家庭教師に教わったりしていましたね。
私も塾に通ったり家庭教師に教わったりしましたが、最も効果的だったのは、実は通学中の勉強でした。当時、私は桜井市から通学していましたので、片道40分間電車に揺られていました。その電車に乗っている時間を、英単語などを暗記する時間に充てていたのです。特に朝は集中できていたと思います。本を開くのも困難なほどの超満員電車の中で立ったまま勉強するのは大変です。電車で覚えるために単語カードを手作りするなど工夫もしました。慣れるまでは苦労しましたが、慣れてしまえばかなり集中できましたよ。今考えると恐ろしいですが、試験の時には40分で250語の英単語を覚えたこともありました。暗記物以外の勉強は家ですると決めていましたし、そういった勉強のルール作りができたことも、集中力を高める結果につながったのだと思います。電車での暗記が体にしみ込んでしまって、高校生の時に、英単語を覚えるために、日曜日なのにわざわざ電車に乗ったことがありました(笑)。
私は大変な怖がりなのだと思います。一つの教科を勉強していると、勉強していない他の教科のことが心配になるのです。常にそうした不安がつきまとってしまいます。思ったことができなかったら、その日は眠ることができないほどの怖がりです。ですから、全教科をまんべんなく勉強できるよう、はじめに時間をしっかり割り振って、一教科だけに集中できるように工夫しました。受験生の皆さんは、毎日不安を抱えて過ごしていると思います。「本当にこの参考書でいいのかな。これは本当に効果的な勉強方法なのかな」と思っていることでしょう。「勉強の目安をはじめに定めると楽ですよ」と、私は自分の経験から申し上げたいです。一人で決められない場合は、塾の先生や保護者の方に相談してみるといいかもしれませんね。

高校時代に出会った二人の恩師

高校は、大阪府立高津高等学校に進学しました。高校では二人の恩師と出会います。一人目は、放課後自宅で小さな塾を開いていらっしゃった、数学の先生です。数人の生徒が先生の御宅に集まって、各々宿題に取り組み、わからないところがあれば質問していました。大変優秀な先生だったのですが、とても無口な方で、ふだんは黙って座っているだけ。質問に行くと、途中まで計算して「後はわかるだろう」と言ってノートを返されます。ちゃんと生徒が自力で考えられるよう指導してくださいました。私は約2年間そこへ通いました。もともと知識より論理構成が必要な数学は好きな科目でしたが、先生との出会いで、ますます面白いと思えるようになりましたね。
二人目は高校2、3年生の時に国語を担当された池谷先生です。高校2年生の文理選択で理系を選んだ際、私は医学の道に進むとは夢にも思っていませんでした。それどころか、3年生に進級した後も、建築学科に進みたいと思ったり、歯学科に進みたいと考えたり、なかなか進路が定まらなかったんですね。そんな時、池谷先生に医学部に行ってはどうかと言われたのです。先生のその一言で、私は進路を定めました。池谷先生は京都大学を卒業された優秀な先生で、授業も大変しっかりされていました。そんな先生のおっしゃることでしたので、説得力がありました。先生については、もう一つ思い出深い話があります。高校1年生の時の私は成績が悪かったのですが、2年生進級直後のテストの成績が偶然にも大変良かったんですね。それを見た池谷先生は、私に「油断をせずに、このままの調子でがんばりなさい」、と一言。こう言われては成績を落とせないなぁと思って、それでがんばって勉強するようになりました。先生には本当に感謝しています。
さて、池谷先生のアドバイスで医学部に進むと決めたわけですが、友人には「お前は無理だから、やめておけ」と言われました(笑)。親にも反対されましたね。私が医学の世界でやっていけるのか、心配だったのでしょう。私は「とにかく一年目は医学部に絞って受験させてほしい」と懇願して、必死に受験勉強をしました。結果、大阪市立大学の医学部に合格できましたので、ほっとしました。

教科書を書き換える大発見

私が糖尿病を専門分野に選んだきっかけは、内科の和田正久先生との出会いでした。はじめは神経内科などにも興味があったのですが、病気を診断するだけでなく、治療ができる分野に進みたいと思ったのです。和田先生の授業は大変興味深く、私は糖尿病を研究したいと思うようになりました。専門分野だけでなく、内科全体のことを視野に入れて研究されていた、その姿勢にも共感できました。
研究を進める中で一番印象深かったのは、医学の教科書を書き換える大発見をしたことです。甲状腺からホルモンが出過ぎるために、様々な異常が出る病気で、甲状腺昨日亢進症という病気があります。当時、医学の教科書には、この病気を発症している時、交感神経が緊張状態であると書かれていました。私はそれがまったくの逆であることを、糖尿病の研究を進める中で偶然にも突き止めたのです。はじめは「教科書に書かれていることのほうが正しいだろう」となかなか受け入れてもらえませんでしたが、同じ甲状腺機能亢進症を研究されていた森井浩世先生は「これはすごいことだ!」と言い切ってくださいました。今では教科書もすっかり書き換えられています。和田先生、森井先生と出会えたことは、大きな財産になりました。

ヒトの1日は25時間

日本人の生活習慣は、短い期間の間に猛スピードで変化してきました。食事一つとっても、高脂肪、高コレステロールの欧米型の食生活にだいぶ近くなっています。睡眠にしてもそう。小学生の睡眠障害など、本来ならば考えられない事態も起こっています。
皆さんには、何を軸にして生活しなければならないのか、しっかり考えてほしいですね。食事の時間を削って電話やメールをしたり、ゲームに没頭したりすると、必ず健康を害します。保護者の方も、お子さんの生活パターンに気を配っていただきたいです。特に朝起きて、しっかり食事を摂ることが大切です。ヒトが体内で計っている1日の長さは、実は25時間なんだす。時計の時間よりも1時間長く、私たちは毎日その1時間分を補正しながら生きています。どこで補正しているのかというと、朝の太陽です。太陽の光をしっかり浴びることで、体は時間のズレを調整しているのです。ですから、朝起きるのがつらいのは当然のこと。「さあ、太陽で体内時計を補正しよう!」という意識で、大切な朝の時間を確保してくださいね。




コラム
 

学術情報総合センター
1996年、大阪市立大学の杉本キャンパスに会館した「学術情報総合センター」。約250万冊の蔵書を有する国内最大規模の大学図書館として、また情報処理・ネットワークの中枢を担う大学情報化の拠点として、そして情報処理教育の場として、多くの学生が利用しています。約1300席の閲覧室があり、パソコンを持ち込むことができる自由閲覧室やグループ学習室など、用途に合わせた使い分けが可能です。DVD、CD-ROMなど電子的資料が豊富に集まるマルチメディアゾーンには、AVブースや語学学習用のLLコーナーなども設置されています。また、アダム・スミスの「国富論」の初版本など、世界的に貴重な書物も所蔵。専門的な学びを追求できる環境が整っているのです。同大学の卒業生である芥川賞作家・開高健の著作コーナーも新設されました。



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